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弁護士法人いまり法律事務所

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外国人技能実習 監理団体と外部役員・外部監査人

筆者の地元でも,アジア系の人を見かける機会が増えました。
旅行者ではなく,地域で就労している人達です。
おそらく,技能実習生でしょう。

新型コロナウイルス感染症が収束していない状況で,異国にとどまっている境遇には,一言では言えない思いがあります。

 

・・・

弁護士の間では,技能実習制度は評判がよいとは言えません。

技能実習制度は,以下のような制度です。
・外国人技能実習制度について(法務省・厚生労働省の周知資料)

 

技能実習生は,当初は雇用関係のない研修生として入国します(技能実習1号)。期間は1年です。
入国後の講習期間は労働関係法令の適用がありませんが,その後の実習期間には労働関係法令の適用があります。

1年経過時,技能評価試験(学科・実技)をパスすれば,技能実習2号に移行します。期間は2年です。
労働関係法令の適用があります。

技能実習2号の終了時,技能評価試験(実技)をパスすれば,技能実習3号に移行します。期間は2年です。
労働関係法令の適用があります。
技能実習3号は,平成29年の法改正で新設された制度です。
3号に移行するときまたは移行後1年以内の一時帰国の制度があり,移行時に実習先を転籍することもできます。

技能実習生の受入れは,企業単独型と団体管理型があります。数としては,団体管理型がほとんどを占めています。
団体管理型では,非営利の監理団体が技能実習生の受入れ,実習計画の作成指導をし,実習先企業に送り出します。
(実習計画の作成自体は実習先企業が行います)
監理団体は,受入企業に対する指導・監督の役割も求められます。

 

・・・

現在の技能実習制度は,平成29年11月1日から施行されたものです。

もともとは,平成5年に制度が創設されました。
1年目は「研修生」とされ,労働関係法令の適用がありませんでした。
2~3年目は「技能実習生」となり,労働関係法令の適用がありました。

平成21年法改正(平成22年7月施行)で,在留資格としての「技能実習」が創設されました。
1年目から労働関係法令の適用があるようになりました。

しかし,問題が多い制度として,日弁連は強く批判していました。

【日弁連の公表している意見】
外国人技能実習制度の廃止に向けての提言(平成23年)
外国人技能実習制度の早急な廃止を求める意見書(平成25年)

 

読んでいてうんざりするようなひどい事例が並んでいます。
具体的な問題事例は,以下のようなものです。

  • 賃金・残業代の不払
  • 労働関係法令違反
  • 通帳・パスポートの取り上げ
  • 強制貯金
  • 強制帰国
  • 送出機関による実習生に対する違約金設定
  • 送出機関からのリベート授受

特に,最低賃金規制が守られていない事例が多数ある点が象徴的です。

 

構造的な問題点は,以下のように整理できます。

  • 職業選択の自由=退職・転職の自由がない,対等な労使関係にならない
  • 在留資格とセットの制度であり,技能実習を継続できないと退去に直結する,退去をおそれて不正を訴え出にくい
  • 監理団体と実習実施機関が癒着しやすい
  • 海外の送出し機関への規制ができない
  • 以上から,不透明な支配従属関係が形成されやすい
  • 根本的に,技能実習制度の制度目的(国際貢献)と,受入側の動機(人手不足対策,低賃金単純労働者がほしい)がかけ離れている

・・・

日弁連は,技能実習制度にかえて,就労目的の新たな在留資格を創設するべき,と主張していました。

しかし,平成29年11月からの現行制度は,技能実習制度の改良を選択した,といえます。
(なお,平成31年4月施行の改正出入国管理法で,在留資格「特定技能」が創設されましたが,技能実習とは別の制度で,代替的なものではありません)

 

現行制度のポイントは,チェックアンドバランスのシステム化と,不正行為に対する厳しい対応といえます。
具体的には,

  • 監理団体が受入機関への監査を実施
  • 新たに創設された技能実習機構が監理団体の審査・許可を行う
  • 実習生からの違反申告の制度化

などで,チェックアンドバランスを図っています。

 

不正行為については,法務省が,監理団体の許可取消や技能実習計画の認定取消を公表していますね。
例:平成30年の「不正行為」について(法務省)

現行制度が上手くまわるかどうかは,監理団体が生命線,あるいは急所になるでしょう。
監理団体は非営利団体でなければなりません。実習生の受け入れ先企業からの資金(管理費)で運営することになります。
その監理団体が受け入れ先企業(実習実施機関)を監査するわけですから,利害相反的な状況といえます。
監理団体の監査が機能するかどうか,ここに現行制度の生命線があるといえます。

 

現行制度では,監理団体に対してもチェックアンドバランスを効かせるため,外部役員または外部監査人を選任する必要があります。
ですから,外部役員・外部監査人の役割は,「監理団体に対する監査」(実習実施機関への監査ではなく)にあるといえるでしょう。
(他にも,技能実習生から技能実習機構に直接申告や相談ができるようになったことも,監理団体に対するチェックアンドバランスの面があります)

・・・

 

これまで弁護士が関与することは少なかった分野だと思いますが,弁護士が役割を果たせる課題がありそうです。

弁護士 圷悠樹

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