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弁護士法人いまり法律事務所

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裁判所の業務縮小の影響 給与差押えへの対応は?

行動変容,されていますか?
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,政府の緊急事態宣言がなされた地域の裁判所は,業務を縮小しています。

例えば,福岡地方裁判所・家庭裁判所のアナウンスです。
https://www.courts.go.jp/fukuoka/about_tiho/osirase/vcmsFolder_642/vcms_642.html

民事事件は,4月8日~5月6日前後の期日が原則として取消になっています。
後日,新たな期日が指定しだい連絡する,ということです。

なお緊急性の高い以下の事件は例外とされています。
・民事保全事件(行政事件の仮の救済手続を含む。)
・ドメスティックバイオレンス事件
・人身保護事件
・民事執行事件のうち特に緊急性のあるもの
・倒産事件のうち特に緊急性のあるもの

刑事事件は,上記期間の期日について,一部を除き,変更しているようです。
裁判員裁判の期日はすべて変更のようです。
令状関係や身柄関係の手続は,通常どおり行っているようです。

また,裁判所への提出書面の受付は,継続して行っている,ということです。
こうした対応は,新型インフルエンザのときに最高裁判所が策定した業務継続計画が基礎になっているようです。

この裁判所の業務縮小によって,どんな影響が出るでしょうか。

例えば,既に債権者から給与差押えをされている場合。
以前のコラムで書きましたが,債権者の請求に争いがないのであれば,早く破産手続や個人再生手続の申立てをして手続を進めるのがセオリーです。
しかし,緊急事態宣言によって業務縮小している裁判所では,「特に」緊急性のある場合でなければ,破産手続や個人再生手続の進行が中断することになりそうです。

そうだとしても,給与差押えをされていてこれをストップする必要がある場合は,「特に」緊急性のある場合にあたるのではないか,と考えたいところです。

東京地裁の破産再生部は,以下のようにアナウンスしています。
https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/2020/020408korona-kijitu.pdf
「(破産・個人再生の)申立ての受付はいたしますが,緊急性のある事件以外は,処理を停止します。緊急性のある事件については,申立ての際,その事情をご説明下さい。」
横浜地裁も,ほぼ同じようなアナウンスをしています。

これらの裁判所では,緊急性のある事件については応相談,となるようです。
予想としては,東京地裁や横浜地裁がWebサイト上でアナウンスしたということは,ある程度柔軟に対応する方針なのではないか,と推測します。

 

さて。
当事務所のある佐賀県は,今のところ政府の緊急事態宣言の範囲には入っていません。
しかし,1週間程度のうちに状況が激変する可能性があるのが,今回の新型コロナウイルス感染症の怖いところです。
今後の状況によっては,佐賀県内の裁判所が業務縮小になるという事態も,あり得ないとはいえません。

借金問題を抱えている方が,既に判決もとられている段階であれば,給与差押えをされる前に解決に動くべきです。
しかも,今は普通に動いている裁判所でも,今後の情勢しだいで業務縮小するかもしれないとすると,裁判所が動いているうちに借金整理の手続をとった方がよい,とさえいえるかもしれません。

もちろん,杞憂に終わることを願っていますが,裁判所でさえ業務縮小になり得る情勢であることは,知っておいていただきたいと思います。

【追記】
4月16日,緊急事態宣言の対象地域が佐賀県を含む全国に拡大ました。
佐賀県内の裁判所でも,5月6日までの期日が取消になっています。
提出書面の受付は継続して行うそうです。

今のところWebサイト上でのアナウンスはありませんが,おそらく福岡地方裁判所などと同様の方針だと思われます。
緊急性のある事件については応相談,となると思われます。

破産手続や個人再生手続の申立てはできますが,急ぎの事件への対応はやや不透明なので,判決などをとられている場合は,差押えをされる前に解決に動いた方がよいでしょう。

【追記2】
緊急事態宣言の延長や外出自粛要請の緩和がありました。
これをうけて,佐賀地裁のWebサイトでは,以下のようにアナウンスされました。
5月7日・8日の期日・・・緊急性の高い事件を除き,原則取消
5月11日以降の期日・・・緊急性が高い事件以外の事件は,取消になる場合がある

もっとも,5月11日以降も,人員面などで,業務縮小態勢がすぐに解消するわけではないようです。
これから徐々に,取消になっていた期日の再指定など,業務縮小からの復帰が図られていくことになりそうです。

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