将来にわたっての金銭の支払いを約束してもらうときは,不履行に備えて公正証書を作った方がよい,といわれます。
これは,公正証書の中に執行認諾文言(条項)を入れることによって,支払が滞ったときに強制執行(差押え)の手続をとることができるためです。
これは,弁護士としても一般論としてはそのとおりだと考えますが,実際に支払が滞ったときにはどうすればいいのか,ということは,あまり意識されていないように感じます。
そこで,公正証書を用いた強制執行(差押え)手続の流れをまとめておきます。
強制執行の手続をとるには,公正証書の「正本」が必要です。
「謄本」しかない場合は,「正本」の申請をする必要があります。申請先は,公正証書を作成した公証役場です。
相手方に,公正証書の正本を送達したことの証明書が必要です。
公正証書の作成段階で送達していることはあまりないようですので,その場合は,公証役場から相手方に送達をしてもらい,その証明書を発行してもらうことになります。
公正証書の正本に,公証役場から「執行文」という文言を付してもらうことが必要です。
送達証明書の申請と同時に,執行文の付与の申請をすればよいでしょう。
債務名義(公正証書)の正本,執行文及び送達証明書を添付して,管轄裁判所に差押命令の申立書を提出します。
その際,差押えの対象を特定する必要があります。
給与差押えなら勤務先,預金差押えなら金融機関(支店名まで)の情報が必要です。
養育費など支払が長期間にわたる場合,以外とありがちなのが,当事者の住所が変わっている場合です。
特に,相手方の住所が変わっている場合,送達をするため,現住所の調査が必要になります。
また,当事者の姓が変わっている場合にも,同一人であることを証する戸籍等が必要です。
相手方側の住所や姓が変わっている場合は,ご自身では調査が困難な場合もあるかもしれません。
公正証書による場合特有の事項もありますが,もともと強制執行の手続は技術的な側面が強い分野です。
お困りの時は,早めに弁護士にご相談いただくことをお考えください。
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