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弁護士法人いまり法律事務所

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相続法が変わります(後編)

相続改正のポイント
  1. 配偶者の居住の権利・・・短期居住権と長期居住権の制度の新設
  2. 遺産分割に関する見直し・・・配偶者間の一定の生前贈与・遺贈の特別受益からの除外,預貯金等の仮払い制度の新設,遺産の一部分割の容認,遺産分割前に遺産処分がなされた場合の遺産の範囲の明確化
  3. 遺言制度に関する見直し・・・自筆証書遺言の方式緩和と保管制度の創設など
  4. 遺留分制度の見直し・・・金銭解決への一本化(遺留分制度の金銭債権化)など
  5. 相続の効力等に関する見直し・・・相続人と第三者との関係の明確化など
  6. 特別の寄与・・・相続人以外の者の貢献を考慮する制度の新設

 

今回のコラムは,前回に引き続き相続法改正についてお話します。
前回のコラムでは,上記「2. 遺産分割に関する見直し」までお話いたしました。前回の内容をご覧になりたい方はこちらからご覧ください。

 

3. 遺言制度に関する見直し・・・自筆証書遺言の方式緩和と保管制度の創設など

自筆証書遺言の方式緩和は,遺言書本文に添付する財産目録部分に限り,自筆でなくともよくなります。
具体的には,パソコン等による作成,第三者による代筆が可能になります。
財産目録を自書以外で作成する場合は,各頁ごとに遺言者の署名押印が必要です。

遺言書の保管制度は,法務局に自筆証書遺言を保管してもらうことができるようになります。
遺言者本人が申請する必要があり,法務局による本人確認があります。
遺言者の死亡後,相続人は,法務局に遺言書の有無を調査することができます。

4. 遺留分制度の見直し・・・金銭解決への一本化(遺留分制度の金銭債権化)など

基本的には技術的な事項です。
生前贈与や遺贈によって遺留分を侵害された相続人からできる請求が,金銭請求のみになります。
つまり,生前贈与や遺贈をされた不動産の共有持分権を戻させることはできなくなります。

また,遺留分の算定のときに考慮する生前贈与の時間的範囲について,
相続人以外の者に対する生前贈与:相続開始前1年以内
相続人に対する生前贈与(特別受益に該当するもの):相続開始前10年以内
とされました。

5. 相続の効力等に関する見直し・・・相続人と第三者との関係の明確化など

基本的には技術的な事項です。
相続による権利の承継について,法定相続分を超える部分について,民法の一般原則と同様の第三者対抗要件が必要とされました。
相続による義務の承継についても,民法の一般原則と同様とされました。

また,遺言執行者の法的地位や権限の明確化が図られました。

6. 特別の寄与・・・相続人以外の者の貢献を考慮する制度の新設

相続人以外の者,典型的には相続人の配偶者などが,被相続人の療養看護や事業への労務提供によって,相続財産の維持・増加に貢献した場合に,特別寄与料として一定の財産を請求することができるようになります。
これまで,いわゆる寄与分を主張することができるのは,相続人に限られました。
相続人の配偶者の寄与行為を,その相続人の寄与分の中で考慮することを認めた事例もありましたが,事例判断であり一般化はできませんでした。
改正法で,相続人以外の者の寄与行為を独立して遺産分割に反映する途が開かれました。

特別寄与料を請求する者(特別寄与者)は,相続の開始及び相続人を知った時から6ヶ月以内,または相続開始の時から1年以内に,家庭裁判所に協議に代わる処分の請求をする必要があります(特別寄与料を定める処分の申立て)。

特別寄与料の要件のうち,「特別の寄与」の判断基準については,今後の運用を注視する必要があります。
また,寄与行為が労務の提供に限られていて,財産上の給付が含まれていないことにも注意が必要です。

特別寄与料は,相続人が相続分に応じて負担します。
また,特別寄与料の金額は,相続財産の価額から遺贈の価額を控除した額が上限となります。

 

前回と今回の二回に渡って,相続法改正におけるポイントをお話してきました。
相続や遺言は,相続財産や各家庭の状況によって対応すべき事項が異なる場合があります。
相続や遺言について,お悩みの方は「いまり法律事務所」にご相談ください。

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