架空請求についての相談をお受けすることがあります。
その際,相談者の方から,「一目見ただけで分かるんですか?」という感想を,しばしばうかがいます。
全部について,一目で分かるというわけではないですが,
明らかな架空請求であれば,一目で分かります。
最近,裁判手続をかたる架空請求が話題にのぼっていますが,裁判手続を自称するものは,架空請求の中でもむしろ見分けやすい部類になります。
このタイプは,2点チェックすれば,架空請求と断定できます。
1点目。当事者と請求内容の記載の有無です。
サンプルハガキには,原告,つまり誰があなたに対して請求をしている相手なのか,そして,いくら請求しているのか,が書いてありません。
これは,裁判書類であればあり得ないことです。
裁判書類には,必須の記載事項があります。
・当事者(請求する者と請求の相手方。通常の裁判であれば原告と被告)
・請求内容(法律用語では請求の趣旨)
です。
これらの記載事項は,法律上決められていることです。
これらが書いてなければ,正規の裁判所なら受付段階でストップされます。
ちなみに,この場面で個人情報保護や守秘義務は理由になりません。
当事者と請求内容を明示することは,裁判手続の根幹だからです。
2点目。配達されたとき,「特別送達」だったかどうか,です。
裁判書類は,必ず裁判所から,「特別送達」という形式で送られてきます
特別送達は,原則として名宛人への対面渡しで,受領時に署名または押印を求められます。
特別送達は,裁判所しか利用できません。
特別送達で届いた書類は,正規の裁判所からの書類であると判断できます。
なお,ハガキで来ることがおかしい,という指摘もありますが,100%成り立つ指摘ではないので,注意が必要です。
確かに,ほとんどの場合,裁判書類は封書で届きます。
ただ,ハガキであっても,正規の裁判所からの書類の場合があります。
支払督促という手続は,オンラインで申立てがされた場合,ハガキの一種で届く場合があります。
ただし,ハガキであっても特別送達で届きます。
したがって,特別送達かどうかが見極めのポイントです。
架空請求に対しては,無視すること,反応しないこと,が正解です。
ただし,正規の裁判所からの書類であれば,無視してはいけません。
ですから,詐欺か本物かを見分ける必要があります。
今回は,見分けやすいものを例にしました。
実際には,もっと判断が難しいものもあると思います。
心配な場合は,弁護士か,地域の消費生活相談センターに相談するようにしてください。
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